市町村合併がといかけるもの〜栃木県高根沢町を事例として〜(2004/06/21発表レジュメ)
芳賀町と宇都宮市との比較
高根沢町が合併先の候補としてあげている芳賀町と宇都宮市であるが、ここで各市町と合併した場合のメリット、予想される問題について客観的なデータから比較していく。高根沢町が合併相手を検討していく段階で議会が組織した「町議会市町村合併研究特別委員」による研究報告書より以下に要点をまとめた。同委員は、合併先の候補として3つのパターンを想定して調査研究を行っているが、塩谷地区に関してはすでに合併先候補として棄却されているので省略する。
● 総務行政部門
*検討項目10 人口の推移、三役、議員、一般職、行政委員会、財政、行政改革の施策、広報誌、統計調査、出納事務、消防体制、防災無線
・ 歳出面、職の専門化によるサービスの高度化と、多様化する住民要望への対応においては規模の大きい合併ほど効果が高いが、地域特性を生かした『住民の福祉に密着した行政』を維持・進展させるのは困難である。
● 住民行政部門
*検討項目 10 面積と人口、通勤圏・通学圏、税金、保健福祉基礎、医療機関、健康診断、国民健康保険、介護保険、保育、ごみ処理
・ 人口の規模によって権限の委譲などもあるため大きな人口を抱えた宇都宮市との方が有効であるという見方もできる。また、芳賀高地区では高齢者の割合が高い状況にある。
・ 通学圏や通勤圏など生活圏という意味では宇都宮市とのが自然
・ 宇都宮市と合併する場合保険料や保育費など国民負担が増えることが予想されるがサービスの種類、量及び基盤の安定など相対的にはプラスになるものと思われる
・ 次期ごみ処理施設を高根沢町に建設が決まっていることから、合併先によってそれぞれ課題として残る
● 建設行政部門
*検討項目 6 土地利用、道路、土地区画整理事業、公営住宅、水道事業、下水道事業
・ 規模が大きい合併ほど、利便性が向上する一方で「地域格差が生じる恐れがある」、「住民の意見が施策に反映できにくくなる」など多くの危険性も含む。
● 産業行政部門
*検討項目 6 観光、店舗数・商工団体、農業委員、農業状況、農地流動化、米の生産調整、
・ 商工関係においては一極集中が懸念される。
・ 農業面においては、広域化による農産物PRや産地間連携など流通が活性化されることが期待され、農業収入の増加が見込まれるとの見方もでき、大きい合併ほど経費節減、販売力強化等のメリットがある。しかし、高根沢町では基幹産業を農業を位置付け、農業に力を注ぎ、数々の農業施策を実施し、成果をあげている。このことを考慮すると、単にスケールメリットを追及するよりも、小回りの利く、地域密着型の、まち独自の農業展開を続行する方が農業従事者にとっては効果がある。
● 教育行政部門
*
検討項目 8 小中学校、給食、生涯学習機会、成人式、職員出前講座、古文書等保存管理、図書館、
スポーツ振興
・ 学区再編は望めないため合併効果は薄い
・ 給食も方式が異なるため、合併効果は薄い
・ 他市町の教育施設が利用できることや、自主事業などの費用負担が軽減されるなど合併効果は高い
現在の経過
・第1回宇都宮市